いつも、クリスマス時期になると思い出すのが、友人JT君のカセットです。JT君は芸大時代の同級生で音楽学部フルート科卒です。
1988年12月に彼の自宅の設計の依頼で会った時に、彼の自作自演の10数曲を録音した1本のカセットをプレゼントしてくれました。彼の家族への愛情が沢山詰まったその曲々を聴いて、それに応えるべくスケッチを何枚も描いたものです。
そして、いよいよ住宅が完成して引越しの前日の夜、JT君と二人で新しい家の下見に行った時、がらんとした音楽室にグランドピアノだけが先に運ばれていて、彼が立ったまま突然1曲私のために弾いて歌ってくれました。ビートルズの"Let
it be"でした。私は続きの和室に座って聴きましたが、吹き抜けを通して家全体に響き渡ります。弾き終わると彼は一言「寺さん、よく鳴るよー」。設計した私にとって、最高の労いの言葉でした。